2025年6月30日、ショート動画プラットフォームTikTok上で直接買い物ができる新機能「TikTok Shop」がついに日本で本格開始しました。もともとTikTok Shopは2021年にインドネシアとイギリスで先行ローンチされ、その後アメリカやブラジル、スペインなど16カ国以上に拡大してきた機能で、日本でも満を持して提供開始となりました。日本国内のTikTokユーザーは月間アクティブユーザー数3,300万人以上(2025年時点)とも言われ、若者を中心に爆発的な人気を誇るTikTokだけに、この巨大ユーザーベースを舞台にした新たなECチャネルの登場は大きな注目を集めています。
TikTok Shop最大の特徴は、“発見から購入までがすべてTikTokアプリ内で完結する”点です。例えばユーザーはおすすめフィードに流れてきたショート動画やライブ配信で偶然商品を見つけ、その動画上のカートボタンをタップするだけで商品詳細を確認し、クレジットカードやスマホ決済(PayPay)、コンビニ決済などで直接購入できます。エンタメ感覚で動画を見ていたら欲しい物に出会い、そのままワンタップで注文までできてしまう——この手軽さと没入感こそがTikTok Shopの強みと言えるでしょう。
TikTok Shopは典型的なソーシャルコマース(SNS上で完結する電子商取引)の最新形であり、その核となるコンセプトは「ディスカバリーコマース(発見型コマース)」です。ユーザーが明確に商品を探しに来るのではなく、SNSのエンタメコンテンツを楽しむ中で“たまたま良い商品に出会い、思わず買ってしまう”——そんな偶発的で衝動的な購買体験を生み出すのが発見型コマースの特徴です。「探していなかったけど思わず欲しくなる商品」との出会いを演出します。いわばエンターテインメントとショッピングの融合です。
中国、ライブコマースで不動産売買。ショート動画「快手」、22年のGMVは約2000億円達成 | 36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア中国でライブコマースを利用した不動産販売が始まってから約3年。昨年本格的に不動産事業に参入したショート動画プラットフォー…36kr.jp
この発見型コマースの威力は、既に中国で実証済みです。Douyin ECの2024年の年間流通総額(GMV)は約3.5兆円(前年比+30%)にも達し、中国EC市場で淘宝・天猫(アリババ系)、拼多多に次ぐ第3位の売上規模に躍進しました。そして中国では今や「TikTok(Douyin)で家が買える」とも言われます。実際、短尺動画やライブ配信を通じて住宅不動産を販売する動きが活発化しており、競合プラットフォームの快手(Kuaishou)では2022年に不動産ライブコマースで総取引額100億元(約1,950億円)超**を達成しました。
既存の日本EC市場は、ご存知の通りAmazonと楽天市場という二大巨頭が長年にわたり牽引してきました。それではTikTok Shopの参入によって、この勢力図に変化は起きるのでしょうか。結論から言えば、TikTok Shopは既存プラットフォームを即座に駆逐する「黒船」ではなく、第三の新チャネルとして共存・棲み分けしていく可能性が高いと考えられます。
例えば、 計画的な買い物や高額商品の購入には信頼性・品揃え・配送の面で強いAmazon、ポイントを貯めてお得に買い物を楽しみたい時は楽天、といった具合に、目的に応じて従来チャネルが選好され続けるでしょう。Amazon=「目的買い」、楽天=「ポイント&セール買い」、TikTok=「発見型ショッピング」といった棲み分けが進めば、TikTok Shopは既存チャネルを補完する第三の選択肢として定着する可能性があります。
また、Amazonは「Amazon Live」というライブコマース機能やインフルエンサープログラムを展開し、TikTok的な動画販売の要素を取り込みつつあります。楽天も「楽天LIVE」というライブショッピングチャンネルを設け、グループ会社を通じたインフルエンサーマーケティングに力を入れています。。
TikTok Shopの登場は、日本の消費者の購買体験にも徐々に変化を及ぼすと考えられます。キーワードは「ショッパーテインメント(Shoppertainment)」です。単に必要な物を効率良く買うだけでなく、買い物そのものをエンターテインメント化して楽しみたいというニーズが高まるかもしれません。今後、日本でもライブコマースの人気が加速すれば、「動画で商品説明を見て質問し、その場で購入」というスタイルが一般化し、ECにおけるインタラクティブ性や即時性への期待値が一段と高まるでしょう。
TikTok Shopの日本上陸は、マーケティング担当者にとって新たな挑戦であると同時に大きなチャンスです。SNS発のコマース波及効果を踏まえ、以下のポイントに注目すると良いでしょう。
TikTok Shop日本上陸により、国内EC市場は新たな局面を迎えました。「動画×ショッピング」という流れは一過性のブームではなく、今後ますます存在感を増すトレンドといえます。だからといって既存のAmazonや楽天がすぐに脅かされるわけではありませんが、消費者の選択肢が増え購買行動が多様化する中、各プラットフォームは互いに刺激し合い進化を遂げていくでしょう。特にTikTok発の発見型コマース文化は、日本のユーザーにも「買い物はエンタメである」という新しい価値観を広めつつあります。ぜひ積極的にこの新潮流を取り入れてみてはいかがでしょうか。
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